スケッチのしかた

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1.半模式図と精密図
 器官における組織の分布だけを簡単に記述したものを半模式図,細胞1つ1つを克明に記述したものを精密図といいます.スケッチの時間は限られていますので,すべてを精密図にするわけにはいきません.そこで全体を代表する一部を選び出して,それについては精密図をスケッチします.のこりは全体の構造がわかる程度の簡略な半模式図をスケッチします.
 下のスケッチは作物学実験での学生のスケッチです.
2.スケッチに描くべき情報
 スケッチには標本の和名・学名,器官,組織名などを入れます.器官や組織名を入れるときは矢印で示すのではなく,直線で示します.学名は属名,種小名,命名者の順です.例えばOryza sativa L.はイネの学名です.Oryzaが属名,sativaが種小名,L.が命名者です.属名と種小名はイタリック体で表現しますが,スケッチで手で学名を書き入れるときは,イタリック体の代わりに下線を引きます.
スケッチにはほかに,観察倍率として,接眼レンズの倍率×対物レンズの倍率やスケール(目盛り)を書きます.
下は学生のスケッチの例です.
3.スケッチの描き方
1.正常なサンプルを選びます.切片を切る過程でつぶれるなどの変化を受けたサンプルは観察対象から外します.
2.ケント紙にやや硬めの鉛筆(H,2Hくらい)で描きます.
3.自分で理解しながらスケッチします.授業でのスケッチの目的は自分でスケッチをしながら自分の観察しているものが何かを考えることを通して,植物の体の構造を実際に目で見て,理解することにあります.顕微鏡で見たものを正確に写し取るだけならいまなら写真でできます.しかし,写真をいくらたくさんとっても,理解する気がないとすこしも知識は深まりません.授業では植物の内部構造がどうなっているかを,スケッチを通して理解することが大切です.
4.スケッチの注意
1.輪郭線は1本だけをはっきりとかきます.
2.黒い部分は点で表現し,塗りつぶしません.
3.断面図として表現しますので,細胞の重なり,立体感は表現しません.
4.できるだけ大きくスケッチします.
5.細胞1つ1つの形の違いをできるだけきちんと把握します.特に組織が異なれば細胞の形は大きく異なります.目で見て,表皮,皮層,維管束などがわかるのは細胞の形,大きさ,配列が異なるからです.それを正確にスケッチに反映させましょう.